祈り

「勉強とは祈りであって、その実、神話を信じちゃいない私にとっては祈らなくてもいいのである。」
画面の向こうから
「どうせ君は試験があろうとなかろうと、勉強などしないだろう。
それを三年間見てきたのだから。」と声がする。
「それはそうさ、私が信じるのは運であって、努力神話ではない。
だから、私は祈る必要もない。
信奉する神はいない。」
また、画面の向こうで
「努力することの否定をしたら、努力することをしなくていいわけではないだろう。
ましてや、頑張ることが善とされている世の中だ。
神は死んでいるとしても、超人にならなければ、超人を目指さなければ、将来は明度を落とし続けるだけだろう。」少し呆れた声であった。
「正論で殴らないでくれはしないか。
ラインを超えている」
「まあ、君が単位を落としたことで、俺は困りはしない。
せいぜい運に祈っていればいい。」ぽろんと音がした。
通話は切られた

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