蜘蛛の糸

なぜ私には銀の糸が垂れないのでしょう。

犍陀多よりも善人であるはずですが。

私は欲深くありませんから、他人の蜘蛛の糸を上ることはしません。

ただ、仏様が私の頭上に一筋の救いを落とされるまで、静かに待つだけです。

ただ地獄をのたうち回るだけでございます。

地獄の底に這う私に糸をつかむ力が残されているかは甚だ疑問ではございますが、些細な問題でしょう。

私にはまだ救いは差し伸べられないのですから。

血反吐を吐いているほかありません。

それ以外にできることは残されていないのだから。

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